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「そんなの知っているから、早く書いてしまいな。」
事実とはいえさらりと酷いことを言った鷹夜に司王のこめかみがぴくりと動くが、渋々書類にペンを走らせる。
「意味がわからん……」
ぶつぶつと文句を言いながら項目を全て埋めていくと、面倒くさそうに鷹夜に返した。
「……うん、漏れはないようだね。」
一度確認してから鷹夜は頷き、今度は司王の腕を掴んで立ち上がった。
「それじゃあ、次行くよ。」
「次は何だ……」
小さな少年に引っ張られていることもあって司王は前かがみになりながら歩いていると、鷹夜は受付のような所に書類を提出した。
磨りガラスのせいで中は見えないが、それでも誰かがいるのはわかる。
「新規登録ですか?」
「はい、手続きをお願いします。」
中から響いた女性の声に鷹夜が答えれば、しばしの沈黙が流れる。
「確認いたしました。
それでは、登録料を……」
「はいはい。」
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