ギルド

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「華野鷹夜様―――少々お待ちください。」 名前を聞いた受付がまた黙れば、鷹夜も同様に沈黙する。 その隙をつくように司王が鷹夜の肩を掴むと、焦りを通り越して冷静になった視線をぶつけた。 「いい加減、説明しろ。」 「説明もなにも、君をギルドに登録しているんだよ。」 肩を掴む手を振り払い、鷹夜は呆れたように司王を見る。 「魔具師になるんだろ? それなら、ギルドへの登録は必須じゃないか。」 「確かにそうだが……」 鷹夜のまともな言葉に司王が怯んでいると、受付から声がかかった。 「お待たせいたしました。 華野様のお名前の確認ができましたので、どうぞ奥に進んでください。」 受付の言葉に鷹夜は短くお礼を言うと、釈然としない表情の司王を引っ張っていく。 「おい……」 「今から属性の確認と、魔力測定をする。 今日中にギルドカードも支給されるよ。」 司王の言葉を無視しながら早口で言うと、鷹夜は薄暗い部屋へと足を向けた。 .
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