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そして質素な扉の前に行くと、ノックをすることなく鷹夜は扉を開けた。
「何だここ……」
司王は予想だにしなかった光景に小さく呟きながら、先に部屋に入った鷹夜に続くように足を踏み入れた。
「それじゃあ、まずは魔力測定からしようか。」
そう言って部屋にある棚から少し大きい箱を取り、中身を出した。
「―――握力計?」
鷹夜が手にしたもの……それは学校のスポーツテストなどで握り込んで計る、握力計そのものだった。
「あまり新しいものじゃないんだけど、そこにあるダンベルよりは新しいよ。」
そう言って鷹夜が部屋のすみを指差すと、そこには少し錆びたダンベルがいくつも転がっていた。
「まぁいいから、さっさと計測しちゃお。」
鷹夜は何も言わない……いや何も言えない司王に握力計を渡すと、きらきらした目で見てきた。
そんな視線に司王は疲れたような表情を返すと、とりあえず握力計を握ってみる。
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