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「最近、嫌な夢ばっかり見ちゃって、凄く気分悪いんだよね…💧」
学校帰り、友達のゆかりに、つい愚痴をこぼしてしまった。
あれから1週間、私はずっと同じ夢を見続けていたのだ。
「夢ってどんな?」
「内容は覚えてないんだけど…」
「内容覚えてないのに、どうして嫌な夢って判るの?」
「…何となく」
「ふ~ん…」
ゆかりは興味なさそうにそう言っただけだった。
そして暫く黙っていたけど、すぐに、
「あっ、そういえば…」
と、思い出したかの様に喋りだした。
「小説の続き、もう書けた?」
「うん。もうすぐ完成するんじゃないかな。」
「え?そうなの?だったら早く続き見せてよ。」
「今度遊ぶ時にね」
「じゃあ楽しみにしてるから」
そう言って、ゆかりが手を振る。
「また明日ね」
ここからは帰り道が違うので、私もそう言って手を振ると、そのままそこで別れた。
さっきよりも嫌な気分は増している。
それに少し息苦しい気もする。
これは今朝見た夢のせいだけではない。
あの夢を見るよりもずっと前から感じていた事だ。
小説の話になるといつもこうだ。息苦しさが前より一層増してくる。
自分が好きで始めた事なのに…。
何かが自分の中で蓄積されてきて、それを外へ出す事が出来ずに、今にも爆発しそうに感じる。
私はこんな気分に耐えられず、息苦しいのを我慢しながら、急ぎ足で家へと向かった。
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