レッド・バタフライ1⃣

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赤い蜜を求め、街を徘徊する蝶。 昼夜を問わず飛び回っては、赤い蜜を啜る蝶。 その姿は、光に照らされ、銀色の光沢を周囲にぎらつかせ、自らを誇示するかのように、奇々怪々に揚々と舞う。 奴の名は、「レッド・バタフライ」といった。 ……いきなりどうしたって? イカレたなんて思わないでくれよ。 これは、これから語る話の一部なんだ。 さて、「レッド・バタフライ」とは直訳で、赤い蝶っていうよな。 あんた達は、ここで何を想像しただろうか? 揚羽蝶や紋白蝶みたいに、ヒラヒラと空を舞う蝶を思い浮かべただろう。 しかし、そんな蝶の事だったら俺が話すわけない。 もう分かるよな? そう、これは事件の話だ。 本編に移る前に、少し事件の内容を話そう。 今回の事件の舞台は中部圏。 日本三大都市の一つである名古屋。 名古屋のターミナル、名古屋駅を中心に巻き起こる連続殺傷事件。 この事件の重要なキーワードは、警察に届いた1通の犯行予告文だった。 ……どうかな? 何か興味をそそる話だろ? とまた、本編に移る前に、お馴染みのSTARSメンバーを紹介しておこう。 Sはサブリーダーの土方翠(ヒジカタスイ)。 Tはリーダーの近藤剱(コンドウツルギ)。 Aはアイドル的存在の伊東茜(イトウアカネ)。 Rは姉貴的存在の山南玲(ヤマミナミレイ)。 Sは皆の弟分の沖田蒼(オキタソウ)。 それぞれの下の名前をローマ字に直し、その頭文字を取って「STARS」という。 彼らは、現代社会で巻き起こった難事件を対象に捜査を行う為に組織された特殊チームなんだ。 過去の実績は、東京で発生した若者を中心とした薬物乱用における中毒死、いわゆる「新型薬物中毒死事件」において、新型薬物「SS」の密売ルートを突き止め流通を阻止した事。 また、大阪で発生した、己の記憶全てを消去され餓死に追い込まれた謎の事件、「大阪連続謎死事件」において、唯一生存した被害者への地道な聞き込みから犯人を特定し、最後は玲が自ら囮となり潜入、傷害の現行犯で逮捕という結果を出している。 この2つの事件については、前に話したから、そっちを参照してほしい。 で、俺の事。 俺はこの話の進行役みたいな者だ。 話下手だから、もしかしたらつまらないかも知れないが、そこは目をつむってくれると助かる。
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