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「……今日は快晴!! あしたも」
メインのコメンテイターが無駄口を叩き過ぎたせいで、天気予報は唐突に打ち切られ、画面はCMに切り替わった。わざわざお天気リポーターに教えられなくとも、太陽が照りつけているのは、閉め切ったカーテン越しにでも分かる。時間を知りたかっただけ。テレビを消す。午前十時前。“良い”天気だなどと、到底思えやしない。
俺の素性を知れば、百人のうち九十八人は、しかめっ面を背けるか、こらえきれず反吐を吐き散らすことだろう。
残りの二人――。
後ろ暗い連中が俺を利用し、金の有り余った変態野郎は俺の客になる。残りの二人から巻き上げる金が、俺の生きる糧で、生きる目的。俺の人生は薄汚れた金で出来ている。
生きている価値なんて欠片もない。蛆虫以下の存在。だが、俺がくたばったところで、世の中がキレイになりはしない。他の誰かがやって来て、俺と同じことをおっ始める。ただ、それだけの話だ。
『あなたは生きて』
アイツがそう書き遺したせいで、俺はせっせと、汚らしい金をかき集めなければならない。病気か事故か、他の誰かが、俺を殺してくれるまでは。
それが、アイツを見殺しにした罰。
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