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「と、いうわけで。ちょっと来てくれる?」
「は…」
どういうわけだ!と聞きたがったけど、いきなり腕を掴まれ思わず言葉を飲み込んだ。『来てくれる?』なんて疑問系で聞いたくせして有無を言わせず引っ張られていく。
唖然とした女子の群れをすり抜け、そのまま何故か体育館裏へと連れていかれる。
…あと少しで授業なんだけどなぁ…。しかも体育。しかもテニス。しかも…試合!イコール、一位に輝きたいんだよ!!
「さて、日森?」
「!!…何ですか岸波」
いきなり呼び捨てにされた。何なんだ一体。負けじと私も君づけ解除。悔しいじゃないか、何だか。
「俺さ、いつも必ず学年トップだったわけ。するとテスト前に『絶対トップに輝く!』とか叫んでる奴がいてさ。
法螺吹きだ、どうせ無理だと思って、当日一番上には俺の名前が来ると思ってた」
「…で。私が有言実行トップになったわけだ?」
「そ。気にならないわけないし、そいつを見てみたいと思うのも当然だろ?」
掴まれていた手が放される。振り向いたそいつは、さっきまでの笑みとは違う、何処か含みのある笑み。
「んで見てみたら…まぁ面白い奴…」
「う、わ?」
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