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「というわけでござい」
「ふーん。それでクリームパンとあんパン間違えたの?」
「…てへ」
「てへじゃないわよ。しかもつぶ餡だし」
「だからごめんって…」
教室に帰り、私は買ってきた物を晴子に渡して今までの経緯を話した。
が、クリームパンと間違えてあんパンを買ってきてしまったことに気付き、晴子は少しご機嫌斜め。
「てゆうかさ。それって絶対七夕のこと好きじゃん」
「はい?」
「岸波君、絶対七夕に惚れてるよ」
「あっはは!虫酸が走る!」
「すっぱり言うねー…」
かぷり、とあんパンに食らい付く晴子。牛乳欲しくなりそうだなー。
あんパン食べてると私は無性に牛乳飲みたくなる。
「てーか有り得ないっしょ」
モゴモゴとメロンパンを食べながら私は吐き捨てるように言葉を放った。
大体アイツを知ったのは今日が初めてで、会ったのも今日が初めてだ。
今日初めて会って、今までのことをする理由といったら、からかってるとしか思えない。
もしくは生粋の女タラシなのか。
「まーもう知らないけどね。メロンパン争奪戦には私が勝った」
ニタリ、と笑みを浮かべると残ったひとかけらのメロンパンを口に放り込んだ。
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