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どんだけ動揺してんだよ。
目でわかるくらいあわてふためく彼女に、口元が弧を描く。
たらたらと冷や汗を垂らしながらあちらこちらに視線を飛ばしては顔がひきつっている。
「…図星でしょ」
「なっなななな何を言いますか!私が泳げない!?冗談よせやい!」
「どうだか」
「すっげー泳げますよ!あたかもクラゲの如く!」
「アレって浮いてるだけじゃん」
「いやややや!違う、違うんだ!私は泳げなくなんかない!私に出来ないことなんてなーーーーーい!!」
うわぁぁぁと雄叫びを上げながら走り去る彼女。
「…クック…。んだよ…。ホン、ト。面白すぎ…」
笑いを噛み殺すも、込み上げては俺の口元をひくつかせる。
ホント飽きさせないよ。
「遂?何やってんのお前」
「ん」
振り向くと、幼なじみの神田川秋人(かんだがわあきと)がいた。
俺はふっと小さく笑い言った。
「楽しいコト」
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