岸波遂VS日森七夕

11/18

828人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
「やっぱりね」 目の前にそびえる建物を見上げながら呟いた。 その建物の看板には『ひもりや』と書かれている。秋人は楽しみにしていたんだろう、何とも輝いた笑顔。 その建物の外装は、明らかに“居酒屋”だった。 「えぇ~日森さんち居酒屋なのぉ?私未成年なのにぃ~」 隣から聞こえる、語尾の伸びる苛つく声。 「じゃ帰れば」 そう冷たく言い放ち、暖簾をくぐって中に入るのは北間晴子。 北間なんて知らないと思ったが、あの時日森と一緒にいた女子だった。 秋人はその北間に続き意気揚々と暖簾をくぐっていく。 北間にバッサリと言われた女は口をあんぐりと開け放心している。 そして我に返ったように目を丸くすると、俺の腕にしがみつき引っ張るように中に入った。 何で俺の腕を掴むんだ。 無性に放してほしい。 中には日森が、いるんだろ?
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

828人が本棚に入れています
本棚に追加