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「はい、お待たせしました。焼き鳥です」
コトリと焼き鳥の乗った皿をテーブルに置くと、日森は俺を見てわざとらしく舌打ちをした。
まだ根に持ってんのかよ。
わかりやすい奴。
「ナナッ!」
「あだっ!」
いきなり日森の頭に拳が降ってきたかと思うと、ガツッと痛そうな音と共に日森が痛そうに顔をしかめた。
頭を押さえる日森は涙目で後ろを振り返ると、大きく目を見開いた。
「とっ父ちゃん!?何でここに!厨房じゃ…」
「一段落したからお前の友達見に来たんだよ!そしたらお前…、友達とはいえお客様に舌打ちたァ何事だ!!」
じろ、と日森を睨むのはどうやら日森の父親らしい。父親に頭が上がらないのか、日森は即座に土下座した。
「すすすすすみませェェん!!」
その光景に、北間を除く俺達3人は驚きを隠せず固まった。
よくある光景なのか、他の客は笑いながら日森を見ている。
「親父ィ、そろそろ許してやれよ」
「ナナちゃんまた土下座上手くなったねー!」
など。
土下座上手くなったってどういうこと?
確かにあの土下座はどこかしなやかだった…気がしないでもない。
どうやら日森はこの店の看板娘的な存在らしい。
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