岸波遂VS日森七夕

13/18
前へ
/112ページ
次へ
「はい、お待たせしました。焼き鳥です」 コトリと焼き鳥の乗った皿をテーブルに置くと、日森は俺を見てわざとらしく舌打ちをした。 まだ根に持ってんのかよ。 わかりやすい奴。 「ナナッ!」 「あだっ!」 いきなり日森の頭に拳が降ってきたかと思うと、ガツッと痛そうな音と共に日森が痛そうに顔をしかめた。 頭を押さえる日森は涙目で後ろを振り返ると、大きく目を見開いた。 「とっ父ちゃん!?何でここに!厨房じゃ…」 「一段落したからお前の友達見に来たんだよ!そしたらお前…、友達とはいえお客様に舌打ちたァ何事だ!!」 じろ、と日森を睨むのはどうやら日森の父親らしい。父親に頭が上がらないのか、日森は即座に土下座した。 「すすすすすみませェェん!!」 その光景に、北間を除く俺達3人は驚きを隠せず固まった。 よくある光景なのか、他の客は笑いながら日森を見ている。 「親父ィ、そろそろ許してやれよ」 「ナナちゃんまた土下座上手くなったねー!」 など。 土下座上手くなったってどういうこと? 確かにあの土下座はどこかしなやかだった…気がしないでもない。 どうやら日森はこの店の看板娘的な存在らしい。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

828人が本棚に入れています
本棚に追加