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「いよ、看板娘!」
「ナナちゃん、粋だよ!」
「親父の跡ァ継げんのはナナちゃんしかいねぇ!」
「うえ~…うへへ、そーかなぁ」
客の誉め言葉に、満更でもなさそうに頬を染めてにやける日森。
ぱく、と焼き鳥を口に運びながらその様子を眺める。
あ、美味い。
「さぁ未来の女将さん!一曲!」
中年の客が、日森にマイクを差し出した。
日森はデレッとした顔のままそれを受け取ると、フイッと父親を見上げる。
「…よし、やれ」
「了解であります!」
ピッと敬礼すると、カチリとマイクの電源を入れた。
「あーあー。それでは日森七夕、歌わせていただきやす」
途端に、拍手と口笛が沸き起こる。
俺達学生4人は、ただその様を眺めるしかなく。
やがてどこからともなく、演歌らしき音楽が流れてきた。
すぅっと息を吸い込む音が聞こえた。
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