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「あ、お三方歌う?」
そう言ってマイクを差し出す日森。
他の客は日森の歌が終わるとまた料理と酒に目を向ける。
ていうか然り気無く俺をシカトしたよな。
お三方って1人足りないもんな百パーセント俺だよな。
「あっアタシ歌いたーい」
マイクを受け取り、女はニコッと笑みを浮かべ俺を見た。
「ね、岸波君、デュエットしよ?」
無理。やだ。面倒。
真っ先に浮かぶ言葉を正直に口にするようなバカな真似はしない。
やんわりと断る。
「いや、俺歌はちょっと…」
「大丈夫だよぉ、岸波君、声良いし心配ないよ!」
心配じゃなくて嫌なんだよ。
そう思うも、何とかそれとなくかわすが、しつこくて仕方がない。
つーか秋人お前助けろよ。
「つーか遂、お前歌得意じゃなかったっけ?」
「別に得意じゃないよ」
「得意だろ」
このバカ秋人め。
余計なこと言うなよ、そうしたら是が非でも歌わせようとするだろこういう女は。
「勝負だ!岸波!」
だが。
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