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「うわぁーん!この勝負は無効だぁ~!」
おーいおーいと蹲って叫ぶ日森に、笑いそうになるのを何とか耐える。
日森が演歌を歌い、その後に俺が歌って、勝敗を決めようとした時だった。
またもや周りの客達に聞こうとした日森を、俺達は却下した。
どう考えたって不公平だ。
というわけで、多数決で秋人、北間、女に聞いたところ。満場一致で俺の勝利。
「もう七夕!見苦しいわよ!」
「だってだってだって!狡いよっ!江戸川君は岸波の親友だしそちらのお方は岸波信者だし」
「神田川ね日森」
「誰が信者よっ!」
二人のツッコミを気にする風でもなく、落胆しながらだんだんテーブルを叩く日森。あ、親父さんに怒鳴られた。
本当父親に弱いんだね。
「お客さんに聞こうとしたアンタも十分狡いけどね、絶対皆アンタ推すじゃない」
「うう親友だというのにフォローの欠片もねぇや」
「フォローする理由がないわ」
ひどいよぉ~と益々沈む日森。うん、面白い。
「でもでも、やっぱり狡いよ!だって絶対この人岸波に入れるし、その上親友の信濃川君もいるし」
「神田川ね日森」
「ていうか日森さん。親友言うけど君の親友俺に入れてるんだけど」
ここで俺がそう切り出せば日森はピタリと動きを止めた。
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