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「うわぁーん!晴子の男タラシー!」
「誰が男タラシ?」
ぐわしっと日森の胸ぐらを掴みギロリと睨む北間。怖っ。
日森はと言うと、顔面蒼白になってすいませんを連呼している。
こいつらって親友………だった、よな?
「大体ね。アンタの選曲ミスに決まってるじゃない。アタシ演歌嫌いだし」
「し、親友…」
「嘘ついて味方につくことが親友?じゃあ親友やめるわよ」
「…私は幸せです。だってこんなに正直で素直な親友がいるから」
あれ、日森泣いてない?
気のせい?
…まぁそれはいいとして。
「俺の勝ち、だね?」
「ぬっ!!」
言われたくなかったらしく、思い切り悔しそうに顔を歪める。
俺はにっこりと笑みを浮かべながら、マイクを日森に差し出した。
「はい、マイク。歌は俺の方が上みたいだね」
「ぐぅぅ!畜生ー!」
夏休みの対決が楽しみだ。
「ナナ!ちょっと来てくれ!」
「はいよー!……んじゃ皆さん、ごゆっくり」
父親に呼ばれて、日森は意気消沈したまま厨房に引っ込んだ。
歌対決は、俺の勝ち。
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