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「…オメデト七夕」
「せんきゅーう!」
唖然としたような、何とも言えない表情で晴子は私に言った。
ライブのアーティストばりのお礼を口にして、私はますますテンションが上がる。
自らの宣言を体現し、今まさに私は絶頂の状態だった。また新たに可能を実現したのである。
「はっはっは!また日森七夕の伝説が増えたな!かっこよく言うとレジェンド!」
「うざっ。
ふうん。岸波君がトップじゃないの初めてじゃん」
「うざ!?
岸波?誰ですか」
「アンタがトップ取る前、ずっとトップだった人。
岸波 遂(きしなみ すい)。
顔も中々よ」
ふうん…。正直どうでもいいけど、イケメンを制したんでしょ要は。
ヤッタネ!不細工ナメんな!…自分で言うと切ない。
「ぃやったァァ日森七夕に不可能なんかな~い!どんな事であろうと私は全て実現してみせ~る!」
「ちょ恥ずかしいからそんなデカイ声出さないで」
はっはっはーと高らかに笑っていると、いきなり女子の物凄い声が響いた。
そう、色で表すなら黄色の。
何なんだ全く、と思いながらも振り向くと、そこには一人の男子生徒が立っていた。
周りの女子は皆コイツを見て目をハートにして熱い視線を送っている。
何なんだ?
「学年1位、おめでとう日森さん」
にこり、と笑みを浮かべてそいつは私を見下ろした。
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