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強制的に上を向かされ、そいつを見上げたまま私は思い切り叫んだ。意味がわからない。周りの人達が、突然の私の大声に驚いている。真に驚くべきは先刻のコイツの一言だと思うのだけれど。
「あれ?残念」
「あーもう放してくださいっ」
残念と言いつつ何やら楽しんだ笑みを浮かべたそいつに少なからず腹を立てた私は、その場に勢いよくしゃがむことでそいつからすり抜けた。
「コラ七夕!そんな足開かないの!」
「アンタは私のオカンですか!?今言うべきはそれじゃないでしょーが!」
立ち上がりながら晴子に向き直れば晴子は素知らぬ様子でそっぽを向いた。あん畜生。
そして、この男はというと、ふうっとわざとらしく息を吐き、挑発的な笑みを浮かべ真っ直ぐに私を凝視する。
私も負けじと睨み返すと、そいつは益々笑みを深くした。
「何でもするんじゃないんだ?」
「何でも“する”なんて言ってませんよ。意味を履き違えてもらっちゃあ困りますね。
私は挑戦者っすよ?挑戦して全てをやり遂げて私は可能を実現した伝説を刻んでるわけですよ。
Do you understand?
(理解した?)」
「ああ、言い方が悪かったか。ならさ」
「ん?」
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