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口は弧を描き、楽しげに細められた瞳は真っ直ぐに私を見据えている。
何となく私はそれを逸らせずに睨み付けるだけで。
周りには女子のギャラリーが沢山いるというのにこんなにも静か。
この男の声を聞き逃さまいとしているんだろうな。
「何でも“できる”んだろ?」
「…やり遂げてみせますよ」
念を押すような言葉に、私は少し間を開けて答える。まるで試すような物言いに私は慎重に言葉を選んだつもりだ。
それでも何か目論むようなコイツの笑みに私は何だか一杯食わされた気分。
クソ、何か悔しい。
戦ってもないのに負けた気分だ。負けるのは大っ嫌いなのに名前も知らない奴にこんな気持ちにされるなんて!!
「日森さん?」
「なんすか」
次の一言に、私は驚愕する。
「俺を好きになれ」
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