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なんと運よく例の二人と出くわしたのだ。
「おれ…野球部の3年なんだけど、1週間以内に部員をあと4人集めないと廃部なんだ…。」
「君たちあの新川シニアなんだってね。」
「野球はやらないのかい?」
黒髪の肩まで伸びるロン毛に、キリリとした目の渋谷は口を開いた。
「野球やりたくて、こんな高校来るわけないでしょ。」
「先輩、残念だけど、俺ら野球から手きったから。」
「…。」
「八王子君は?」
春日は神にもすがる思いだった。
金髪で右側だけいやに髪が長い。185はあるだろうその長身の八王子に威圧された。
「やるわけないっしょ。」
「こんな、アホみたいな野球ごっこに付き合えませんよ。」
春日の胸にズキンと突き刺さる。
確かにそうだ。
この二人のいた舞台に比べれば、おれがどんなにちっぽけな存在か…。
「…。」
「でも中学で有名だった、村雨ってピッチャーが入部したんだ。」
「決して生半可な野球遊びをするつもりはないんだよ。」
「だから君たちも…。」
「いいっすよ!!」
「!?」
渋谷の一言に驚いた。まさか本当に入部してくれるのか?
「ただし、条件がある。」
「その村雨ってピッチャーが俺もし俺がそいつからヒット打ったら素直に廃部になりな。」
春日の心は考える暇を与えなかった。
「いいよ。」
村雨なら抑えられる。必ず…。
「じゃ明日グラウンドに行くんで、よろしく。」
それだけ言って二人は帰っていった。
「渋谷、あんな約束していいのか?」
「馬鹿、八王子。俺を誰だと思ってんだ?」
「去年シニアの全国選抜に選ばれたの忘れてね~よな?」
「ハッハッハ!!そいいえば、そうだったな!!」
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