2.二人の怪物

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タイムリミットまであと5日。 昨日事情を聞いた村雨は、久々に練習用のユニフォームに身を包んでいた。 バッターボックスには、ボタンが全部開けられた、まるでやる気のない制服の渋谷が立っている。 「いさぎよく廃部になりな。」 「おれの球、打てるもんなら打ってみろ。」 「打てなかったら、必ず入部だからな。」 「そっくりその言葉かえしてやるよ!!」 「来い!!」 いよいよ運命の対決が始まった。 辺りが静まり返ったその時、村雨は大きく振りかぶった。 心配そうに外から見守る、春日と桃丸と白と姫路。 右のオーバーハンドから放たれた球は、一直線にストライクゾーンに向かっていった。 渋谷は140前半の球に表情一つ変えず、目の前の球に静かにバットを振り下ろした。 『ッキン!!』 激しい金属音をたてたバットと共に、ボールはライト側のファールゾーンに勢いよく飛んでいった。 「ヒッヒッヒ。」 「これがお前の球か?」 「威勢がいいな…。たいしたことないなら前に飛ばせよ。」 「安心しろ。次はホームランだ!!」
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