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20XX年、4月。
桜が舞う新しい季節がやって来た。
新誠高校の入学式は終わり、早々に上級生たちによる部活勧誘が始まった。
サッカー部、バスケ部、バレー部、たくさんの部員たちがビラを配る。
しかし野球部のビラを配っているのは一人だけだった。
そう。野球部の部員は一人だけなのである。
去年まで十数人の部員が存在したのだが、あまりの弱さに一人を残し全員辞めてしまった。
坊主でキラキラ輝く瞳。
明らかに真面目そうな風貌。
ただ一人の野球部員、春日あおいは必死だった。
なぜなら、今年最低9人の部員が集まらなければ廃部と決まっていたからだ。
春日は3年、最後の夏を迎えず終わるなんて考えたくなかった。
だから、絶対部員を集めなければならないのだ。
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