猫になったが百年目

俺は？

まずは二足歩行じゃなくて、四本足で歩かなきゃ。
つまり今の俺には“手”は存在しなくて、あるのは“前足”と“後ろ足”。

服も着てないから下半身も丸出し。
まぁ、どうせ隠そうとしても前足は届かないし、見たけりゃ見なさいよ。

う～ん、それにしてもフローリングは歩きにくい。
爪が床に引っ掛からないし、ツルツル滑る。
こりゃ踏張りながら歩かなきゃ。
明日には筋肉痛か？

そういえば俺はまだ一言も声を発していない。
ちょっと声を出してみるかな…

ニャ～

情けないぐらい猫だ。
そりゃ見た目が猫で人間の言葉が喋れたら変だもんな。
夢のくせに設定はしっかりしてやがる。

あ！ドアが開いてる。
外を散歩してみますかね。
一応お母さんに出掛けるのを伝えた方が良いのかな？

ドアから少し出て、お母さんの方を見ながら鳴いてみる。

ニャ～ォ

「あら。タマお散歩？早く帰ってきなさいよ」

どうやら伝わったみたいだな。
んじゃ、行ってきます。