第1歩

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ここは日本都内。   一際大きな建物が目立って見える。   その建物は日本防衛隊“ライン”の基地であり、日々忙しく隊員達が働いている。   獣化機“バックス”のエネルギーを探し出現を予測する探索員もいれば、格納庫で対バックス用の人型兵器“ジオライナー”を整備する整備員もいる。   その整備員の中に一際熱心に働く若い女性隊員がいた。   その女性隊員の名は「神崎陽」(カンザキ ヨウ)。   家計の為に高校進学を諦め、ラインに就職した家族思いな16才である。   陽が整備をしつつ、ふと格納庫の入口に目をやると、一般人の青年がいた。   陽は溜息をつきながら整備リフトから下り、青年に歩み寄った。   「もう!何でココにいるのよ!」   「近くを通ったから寄ってみようかなぁって思ってな」   「寄ってみようかなぁって…、そんな本屋感覚で来ないでよ!というかセキュリティは!?ラインの隊員証持ってないでしょ!?」   「セキュリティが甘かったんだよ。ネットで落としたライン隊員証で入れるんだからな」   「呆れた。隊員証を売る人がいるだけじゃなくて、買う人もいるなんて」   「まぁまぁ、気にしない気にしない」   「気にしますっ!」   「あー、残念ながら気にならないんだよなぁ、俺は」   青年は呑気に答える。
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