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もうひとつ心に残った出来事。
それは運動会が近づいていた季節のころだった。
「5、6時間目は授業内容を変更して、隣のクラスと運動会の合同練習をしますので着替えたら体育館へ集合!」
急遽体育の授業へと変更になる。
学年別出し物の練習だ。
普段、食べていて授業が始まってもあまり焦ったりしなくなっていた私だが、今回ばかりは
《どうしよう。早く何とかさなくては》
と、気が気で仕方なかった。
それはどうしてか。
教室で行われる授業は、ノートこそは取れないが、授業事態は受けていた事になる。
ところが体育館で行われる授業を見学する事は、まずありえない事だからだ。
しかも運動会の練習ならなおさらだった。
何よりも自分が覚える事ができない。
それは困る。
焦った私は、ひらめいた☆
《体育の授業という事は…みんなこの教室から居なくなる。と、いうことは…なんとかなりそうだ》
予鈴と同時にみんな体育館へ移動した事を確認し、わたしは行動を開始した。
誰も見ていない。
と、くれば今がチャンスと考えるべき。
そう、わたしは少し緊張しながらも給食室へ残したまま持って行ってしまった。 無事給食室までたどり着いたが案の定、誰もおらず黙って食器を置いてきてしまった。
そんなちゅうちょをしている暇などない。
わたしは急いで教室に帰った。
体操着に着替える時、わたしはフッと思った。
《急いだらダメだ。バレてしまう》
よく気がついたと自分でも思ったほどだ。
そしてわたしはゆっくりと着替えて体育館へと向かった。
体育館ではちょうど体操が終わり、広がった体制の状態だった。
とても良いタイミングだった。
これがもし音楽に合わせて踊っている途中だったら、自分の定位置に着くのはかなり大変だったに違いない。
「間に合ったね。よかったね」
「うん。セーフだったよ」
そんな話をしていると、先生と目が合ってしまった。
先生は《いつ来たの》と言いたそうな顔をしてわたしを見ていた。
わたしはペコリと頭を下げ、授業に戻った。
そんな体験をし、わたしは団体行動の大変さを思い知らされた。
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