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もうゆっくりどころどはない。
お腹がいっぱいで食べられない。
食べたくない。。。
クラス全員の質問が終わり、授業が終了する15分くらい前。
「じゃ、あなたもういいから。片付けて。ちゃんと給食室まで持っていくのよ」
わたしの学校は、いわゆるマンモス校で給食は各階まで専用エレベーターで運んでもらえるシステムになっていた。
しかし5時間目の授業の終わりにはエレベーター前に残っている訳がなく、小心者のわたしがそこに置きっぱなしにも出来ない。
しかも置いたとしても、片付いた後に置くような人間はわたしぐらいしか居なかったので、すぐにバレてしまうのは明らかだった。
仕方なく給食室に持って行ったが、さすがにガラーンとしていた。
中をのぞくと、すでに洗い終わっている様子。
「あら、どうしたの?」
途方にくれているわたしに声をかけてくれた給食のおばさん。
「あっ、あの。これ」
「あっらー、まだあったの?もう洗い終わっちゃったわよ」
「すみません…」
「まあ、いいわ。明日一緒に洗いましょ。どうもありがとうね」
「お願いします」
そう言い残すと駆け足で教室へ戻った。
{ガラッ}
教室のドアを開けたとたん、注目の的。
「すみません…」
思わず誤ってしまった。
「さー、時間がないわよ。チャイムが鳴ったら回収しますからね」
《えっ!ちょっと待って》
わたしは慌ててテストを始めた。
《みんなはヒントがいっぱいあって、わたしには無いの?しかも時間もくれないの?》
一瞬よぎった思いも、それどころではなかった。
時間がないのだ。
とりあえずひたすら問題を埋めていくだけだった。
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