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「健太…。」
「龍、なんでこんなところでのんびりしてんだよ!」
「…俺…分かんねんだよ、…もし行ったら、優子にとって、迷惑じゃないのか?」
そんな弱気な発言をしていると、健太が近付いてきて、大きな声を出した。
「龍!お前の気持ちはそんなものだったのか?もし今日行かなかったら、しばらくの間ずっと会えないんだぞ!それでもいいのかよ?好きだったら、最後まで自分の思いをつらぬけよ!」
そのとき俺は気づいた…。優子の迷惑を考えていたわけじゃない…、単純に傷付くのが怖かっただけだと…。
「そうだよな、こういうときくらいしっかりしないとな!」
「気付くのがおせぇんだよ!早く行けよ!」
――いつもはこういうことは極力言わない健太が、俺のことを思って、わざわざ来てくれたんだ…。その気持ちを無駄にしてはいけない。
俺は空港に向かって走り出した。
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