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そんな恥ずかしい思いをしながら、最後に俺がミユキの墓の前に立つと、手を合わせた。
「みんな変わらないだろ?
そうそう、今日はお前にこの子を会わせに来たんだ」
俺はそう言って、ミユキを抱き上げた。
「俺とチヅルの子供だよ。
名前は"ミユキ"。
お前の名前をそのまま貰ったよ」
そう墓に向かって語る俺を不思議そうにミユキは見ていた。
「パ~パ~。誰と話してるの?」
子供にとっては、俺達の行動が不思議な光景に見えていたようだ。
そんなミユキに俺は小さく微笑んだ。
「ん?パパとママの"大切な人"とだよ」
「パパとママの?」
「そ。パパとママの二人の"大切な人"だよ」
「ふ~ん。じゃあ、ミユキと一緒だね」
ミユキの言った一言に、俺とチヅルは驚いたようにミユキの顔を見ていた。
そうか……
俺達にとって、どちらのミユキも大切なんだ……
当たり前のように過ごしていたから、実感する事はなかったが……
今の我が子の言葉に俺達の心は何かに満たされたような気がした。
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