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少しの間、俺達は黙っていた……
姿を消したミユキの事を、それぞれ思い出しているように……
そんな俺の腕では、ミユキが落ち着きがないようにキョロキョロと俺達の顔を見渡していた。
そして……
「ねぇー。早く帰ろうよー」
どうやら誰も反応がないせいか、飽きてしまったらしい。
そのミユキの声にそれぞれ我に返った。
「そうだな。帰ろうか?」
「そうだね。ミユキも飽きちゃったみたいだし」
「じゃあ、行くか!」
俺達はそう言い合い、最後にミユキの墓の前で3人揃って手を合わせた。
「じゃあな。ミユキ」
「また来るね」
タクトとチヅルはそう言って帰ろうとしたが、俺は一人だけ動かなかった。
「リュウジ?」
「ちょっとミユキを頼む」
俺はそう言って、チヅルにミユキを渡した。
すると、チヅルは何かに感づいたように、ミユキを抱くと笑顔を見せた。
「じゃあ、先に帰ってるね」
「悪いな」
俺の一言を聞いた後、チヅルは俺に背を向けて歩き出すと、タクトと一緒に墓地から出て行った……
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