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そして……
"二人"だけの時間になった……
俺はおもむろにポケットに手を入れると、握り拳を作ってポケットから手を出した。
そして、ミユキの前に差し出すように手を開いた。
「ほら……」
その手の平には、あの頃の"黒いペンダント"があった……
あれから10年経っても、俺は大事に持ち続けていた。
俺は再びペンダントを握り締めると、自分の胸に当てて目を瞑った。
すると、ミユキとの思い出がたくさん蘇った……
俺のイタズラに引っかかった時のミユキの怒った顔……
感動する映画を見た時のミユキの泣いた顔……
俺とチヅルのケンカにオドオドした時のミユキの困った顔……
いろんなミユキの表情が思い出された……
でも……
一番多く思い出したのは、笑顔のミユキだった……
特に、高校生になって俺とミユキが付き合っていた頃の"笑顔"が俺にとって……
一番好きな笑顔だった……
俺は再び目を開くと、ミユキに向かって静かに語り始めた……
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