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そして……
俺は手に持っていたペンダントを"あの夏"の時と同じように静かに身に付けた。
すると、俺の胸元には2つの色の違う同じペンダントが並んだ。
あの頃と変わらない輝きを持ち続けながら……
その2つ並んだ輝きを俺は黙ったまま見つめていた。
そして、静かに空を見上げた。
……白い雪が降り続けていた…
その空に向かって俺は言った。
「ミユキ……
俺はチヅルと幸せになってるから……」
だから……
俺達を見守り続けてくれ……
俺はそうミユキに"言葉と心"で伝えるとこぼれていた涙を拭って笑顔を作った。
「じゃあ、チヅルも待っていると思うから、そろそろ行くな」
俺はそう言うと、ミユキの眠る墓に背を向けて歩き出した……
すると……
わずかに風が吹いた……
でも……
真冬の風なのに……
温かく感じた……
俺はその風を追うように、もう一度、墓の方を振り返った。
その瞬間……
ミユキの声が聞こえたような気がした……
『ちゃんと見てるから……』
と……
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