8225人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな俺達を見ながら、チヅルは優しく微笑んでいた。
でも、少し寂しそうな顔をしていた。
俺はその事に気が付いた。
「チヅル?」
「ミユキだけいいな~」
「……何が?」
「リュウジ、ミユキばっかり見てるんだもん……」
チヅルは、そう羨ましそうに言った。
「あのなぁ、娘に嫉妬するなよ……」
「だって~」
俺が呆れたようにチヅルに言い放つと、チヅルは駄々をこねる子供のように言い返していた。
そんなチヅルの言葉に、俺は小さく溜め息をするとチヅルの頭の上にポンと手を置いた。
そして、軽く微笑みながら言った。
「ちゃんとチヅルの事も見てるから……」
「ほんとに?」
「ホント!」
俺の言葉にチヅルは満足気に嬉しそうに笑った。
でも……
そんな俺達を黙ったまま見る視線があった……
「おーい。俺の事を忘れてないか?」
その声に俺達が振り返ると、そこには恥ずかしそうな表情を浮かべるタクトが居た。
「ったく……見てる方が恥ずかしいよ……」
「そうか?」
「私達、いつもこうだよ」
呆れ顔のタクトに俺達は平然と笑って答えてた。
.
最初のコメントを投稿しよう!