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そんなチヅルの言葉にチヅルの母親が言い返してきた。
「だって、かわいい孫なんだよ」
「だからって、みんなで……」
「ま、いいんじゃないか?」
「そうだけど……」
母親の言葉にチヅルは、また溜め息をしていたが、そんなチヅルを宥めるように俺が言うと、チヅルは少し頬を膨らましていた。
チヅルはミユキを産んでから、妙に"心配症"になっていた。
母心なのか理由は分からないが、たぶん名前が一緒だから"幼なじみ"と重ねてしまっているのだろう。
いつ、いきなり消えてしまうのではないかと……
それはある意味、チヅルが"弱く"なった所かもしれない……
そんな心配そうに、両親達にもみくちゃにされている我が子を見るチヅルの肩を俺は優しく抱き寄せた。
「何をそんなに心配してるんだよ?」
「べ、別に心配してる訳じゃないけど……」
「大丈夫。俺達の子供だろ?
それに何の為に"ミユキ"の名前を付けてあげたんだよ?」
「……"ミユキ"のように明るく優しい子に育ってほしいから…」
俺の言葉にチヅルはうつむきながらも小さく答えた。
その答えを聞いて、俺は安心したようにチヅルに微笑んだ。
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