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その事に俺は恥ずかしくなって顔を赤くしたが、なるべく平静を装っていた。
「年甲斐もなく、抱きつくなよ」
「いいじゃん~。寒いんだもん」
「だったら、上着か何か持って来いよ」
「え~めんどくさい」
「ったく……仕方ないな…」
俺はそう言いながら溜め息をしたが、正直言って俺自身もこの方が寒くなくていい……
そうやって、俺達はお互いの温もりを感じながら身を寄せ合っていた。
そんな中、チヅルが小さく呟いた。
「そういえば、ミユキと何を話したの?」
「ミユキと?」
「うん、ミユキと!」
チヅルは笑顔で聞いてきたが、その答えには正直困る……
『……俺…今でも…
ミユキの事が"好き"だ……』
ふと、俺の中でミユキの墓の前で言った言葉が思い出されていた……
これを言ったら、チヅルはどう思うだろうか……
当然のように怒るだろうな。
「えっと……それは……」
俺は少し目を泳がせながら、何かいい言い訳を考えていた。
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