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それでも俺はチヅルを強く抱きしめた。
「違うよ……
俺にとって、チヅルもミユキも"大切な存在"なんだよ……
だから……」
まるで言い訳のように、俺は弱々しい声で言っていた……
でも……
「……分かってるよ」
チヅルはそう一言だけ言うと、俺にいきなり口付けをしてきた……
はっきり言って久しぶりだった……
そして、その事に驚く俺をよそに立ち上がると背伸びをするように、星空に向かって手を伸ばした。
「ねぇ、リュウジ?
こうやって、手を伸ばすとミユキに届くかな?」
子供のような発想だったが、チヅルは笑っていた。
その笑顔に俺は微笑むと……
「届くよ。絶対に……」
そう言った。
すると、チヅルは俺の方を振り返ると、笑顔のまま俺に顔を近付けた。
そして……
「ちゃんと、ミユキの分も私の事を"幸せ"にしてね」
「あぁ、分かってるよ」
「絶対だよ?」
「絶対!」
俺は少し顔を赤くしながら、チヅルに強く言った。
その俺の言葉にチヅルは満足したように笑うと、俺の手を掴んだ。
「じゃあ、中に戻ろうか?」
「そうだな」
こうして、俺達はお互いに笑顔で家の中に入った……
すると、雲一つもない星空の中から"雪"が舞い降りてきた……
とても真っ白で……
美しい雪が……
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