契約

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自分が死ぬ夢なんて、見たことあるか? オレはある。2回くらいある。 最初のは確か、とてつもなく高いところから落ちてばらばらになって死ぬ夢。 次は、何かの爆発に巻き込まれてこなごなになって死ぬ夢。 どれも非現実的なシチュエーションだったが、やけに鮮明に覚えている。 そして今。 オレはまた、自分が死ぬ夢を見ている。 今度のはかなりタチが悪い。 夢なのに、感覚がはっきりしている分、なお悪い。 血が、溢れて止まらない。道路が、血の海だ。 体のあちこちから、鋭利な刃物が突き出している。俺は、これにやられたのか。 寒い。眠い。 夢の中なのに眠いって、どういうこった。眠れば、目が覚めるのか。 まぁ、いい。この悪夢から醒めれば、またいつも通りだ。 またいつもの、何もない日常に戻るんだ。 「これは夢なんかではないぞ。これは紛うことなき現実よ」 びちゃり。血溜まりに足を踏み入れるヤツがいた。 視界がぼやけて、姿がはっきりとしない。 が、これだけは、はっきりとわかる。 そいつは、笑っていた。 「言ったであろう。おぬしは死ぬと」 そいつは、わざとらしい深い溜息をついた。 オレが、死ぬ? 死ぬだって? 「まだ、この現実を受け入れられぬか。まぁ、よい。ならば死ぬだけなのだからな」 意味がわからない。これが、現実? 「最後にもう一度問うぞ」 そいつはオレを見下ろし、不適に笑い続けていた。 「契約か、死か。さぁ、選ぶがよい」
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