0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
自分が死ぬ夢なんて、見たことあるか?
オレはある。2回くらいある。
最初のは確か、とてつもなく高いところから落ちてばらばらになって死ぬ夢。
次は、何かの爆発に巻き込まれてこなごなになって死ぬ夢。
どれも非現実的なシチュエーションだったが、やけに鮮明に覚えている。
そして今。
オレはまた、自分が死ぬ夢を見ている。
今度のはかなりタチが悪い。
夢なのに、感覚がはっきりしている分、なお悪い。
血が、溢れて止まらない。道路が、血の海だ。
体のあちこちから、鋭利な刃物が突き出している。俺は、これにやられたのか。
寒い。眠い。
夢の中なのに眠いって、どういうこった。眠れば、目が覚めるのか。
まぁ、いい。この悪夢から醒めれば、またいつも通りだ。
またいつもの、何もない日常に戻るんだ。
「これは夢なんかではないぞ。これは紛うことなき現実よ」
びちゃり。血溜まりに足を踏み入れるヤツがいた。
視界がぼやけて、姿がはっきりとしない。
が、これだけは、はっきりとわかる。
そいつは、笑っていた。
「言ったであろう。おぬしは死ぬと」
そいつは、わざとらしい深い溜息をついた。
オレが、死ぬ? 死ぬだって?
「まだ、この現実を受け入れられぬか。まぁ、よい。ならば死ぬだけなのだからな」
意味がわからない。これが、現実?
「最後にもう一度問うぞ」
そいつはオレを見下ろし、不適に笑い続けていた。
「契約か、死か。さぁ、選ぶがよい」
最初のコメントを投稿しよう!