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「く~! この日をどれだけ指折り数えたか。待ちに待ったクラス替え!」
周りの視線を気にせず大声、しかも校庭で自らのこぶしを天高く上げる。
小学四年生くらいだろうか。
まだ肌寒いのか赤いジャンパーを身に纏い。
頭には黄色いバンダナをしている。
白っぽい色の髪で外見はすらっとしている為、パッと見れば女の子と見間違えるだろう。
何よりその小さく整った顔が拍車をかける。
だが黒いランドセルを背負っていれところを見ると男の子のようだ。
「これで……ようやくあの地獄の日々から解放される……」
少年の目から一筋の涙が零れる。
しかし、顔は喜びに満ち満ちていた。
いわゆる嬉し泣きというやつだろう。
だが、朝から、しかも校庭のど真ん中でそれも男の子が涙を流している。
……確かに理解しがたい。
(変な人だなぁ…)と言う視線を向けながら周りの子供たちは早足で校舎に向かう。
この学校の方針は『自由を重んじ、臨機応変に対応出来る人間になれ』と変わったものだった。
それに時刻は7時45分。
この学校は8時から始まるのであまり関わっていられないと言うのも幸いしたのだろう。
誰も少年に話しかけようとは思わなかった……が!!
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