第二話 真剣勝負

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「…やっぱりね。君が最終試合の相手だった」 キルシュがポツリともらす。 相変わらずイヤミな奴だ。 「…悪かったわね」 「まぁいいよ。手加減しないから」 好戦的な眼であたしを睨んでくる。 「やれやれ…」 カァンと鐘の音が響き、試合が始まる。 「…じゃあ遠慮なく!」 あたしは勢いよく地面を蹴った。 そのまま真っ直ぐ剣を振り下ろす。 キィン! 模造剣が音を立て、そのままつばぜり合いになった。 ギギギギギッ… 力任せに剣を振る。何度も押し返され、あたしは少し後退した。 「力で男の僕に勝てると思ってるの?」 キルシュが不敵な笑みを浮かべる。 「今度は…僕の番だ!」 キルシュが歩を踏んで素早くあたしの横に回り込んだ。 「ーやっ!」 カァァン、と高い金属音を立て、剣が弾け飛ぶ。 「っわ…」 あたしは手から武器がなくなり、そのまま後ろにすてんと転んでしまった。 「やば…」 「隙有りっ!」 剣を振り下ろされ、あたしはぎゅっと目を閉じた。 ごんっ。 「いたっ!」 おでこに模造剣が直撃。 かなり痛かったですよお坊ちゃん。 「…勝負ありだね」 キルシュがにこやかに微笑んだ。 「…参りました」 あたしが言うと、 「勝者、キルシュ!」 先生の声にみんなが歓声をあげる。 全くいつの間にこんな人だかりができてたんだろう。
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