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「…これで剣術の試合は3勝2敗僕が上だ」
キルシュがあたしを見下げて言う。
「別にあたしは好きで貴方と闘ってる訳じゃないんだけど…」
あたしがボソッと負け惜しみを言うと、
「うん。僕もだよ」
にっこりと返された。
ほんとどこまでもムカつくなぁ。
「仕方ないでしょ。力量や技術が大体同じ位なんだ。普通に勝ち進めばイヤでも当たる」
シャキン、と、キルシュが鞘に模造剣をしまう。
「手、怪我してるね。君のことだから持ちすぎて痛めたんでしょ」
くす、とキルシュが見下げた笑みを浮かべる。
悔しい。そんな顔さえ美形なんだもんな。
「うっさいな…はいはい、坊ちゃんはお強いですよ」
あたしは立ち上がると、ロングブーツやスカートに付いた砂を払った。
汗でベトベトする。早くシャワー浴びたいなぁ。
「…君、ふざけてんの?」
キルシュが横目で睨んできた。
そうだ。こいつはお家の話題になると不機嫌になるんだっけ。
「いいえ。とてもとても。ふざけるなんて滅相もない」
あたしが少しおどけて言うと、キルシュは、
「いつか…ぶっ潰したげるよ」
悪魔みたいな笑みであたしを見た。
すたすたと戻っていったので、あたしも行くことにする。
こわいなー。
女の子相手にそこまで言うかぁ?
あたしってよっぽど嫌われてんだな…
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