第二話 真剣勝負

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「ルイーっ!」 ぱたぱたと砂埃をあげてチフルが走ってくる。 「手!大丈夫?」 ぱっとあたしに駆け寄ると、手を取ってハンカチを解いた。 そういえばチフルが巻いてくれたんだ。 するりと布を取ると、中から大きく膨れた豆や潰れて血を出したものがあった。 おお、グロテスク。 「わあ、痛そう…」 チフルが眉間にシワを寄せて言った。 あたしは、 「だぁいじょーぶ!見た目アレだけどそんな痛くないから」 「ダメだよっ。やっぱり手当てしなきゃ…」 チフルが包帯を出した。 さっき心配して取りに行ってくれたんだろう。 「ありがとう、チフル」 あたしがそう言うと、 「いえいえ。姫のお世話は私の仕事ですからねっ」 おどけて言った。 ん、姫? 「姫ってどういう意味よ?」 あたしが聞くと、 「あれ、知らない?ルイは周りからそう呼ばれてるんだよ」 はぁ?
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