第三話 まどろみの一時

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「うひゃっ!?」 後ろからむぎゅっと抱きつかれて、あたしは声をあげた。 「ルイ…」 あ。 ふかふかの耳。 びみょーに当たるぷにっとしたほっぺ。 か細くて小さい声。 「…コロン?」 あたしは尋ねるように呟いた。 「せいかい…」 ぴょこっと横から顔がのぞいてきた。 見えたのは、優しい黄土色の髪に、同色の垂れた獣耳を持つ小さな女の子。 あたしのクラスメート、 コティリアーノ・ロロットン… 通称コロンだった。 「ふわー。ルイいい匂い。お風呂上がり…?」 眠そうなぼーっとした目がこちらを見ている。 「うん。試合で汚れたからね。シャワー浴びてきたの」 「うー。ボクは一回戦で負けちゃったの…ルイつよい。すごいー」 コロンが笑う。 ふにゃっとした笑みが可愛らしい。 コロンは獣人族の女の子で、幼い子供のような外見をしているけどあたしと同い年だ。
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