第四話 兆し

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「……」 あたしは無言で歩みを早めた。 「へぇ、僕を無視とはいい度胸だね、リレイツ」 …ああもう~!! 「何でアンタがいるのよ!」 あたしは牙をむいて怒鳴った。 キルシュは少しひるんで、 「僕はただ下校してただけだよ」 さらりとぬかす。 ああそうですか。 「じゃあ話しかけないでよ!うっさいわね!」 「うるさいのは君だと思うけど。というより、僕も好きで話しかけた訳じゃない」 は? 「これ、落ちてたよ」 そう言って差し出したのは、あたしの髪留めだった。 「ーあっ!」 ポケットを探るけど、ない。 あたしはキルシュの方を見て、 「…どーもっ」 ばしっとキルシュからそれを奪う。 「ホント間抜けだね」 キルシュに鼻で笑われた。 かちーん。 「…なんですと?」 「だから間抜けって言ったんだよ」 キルシュが冷ややかな声で答える。 ひ と こ と多いわコノヤロー!!
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