第四話 兆し

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リア姉は高位魔術師で、危険な仕事を引き受けることも多い。 だから実績も上がって、エリートを突っ走っているんだけど、あたしは心配で気が気でない。 「…あんまり無茶しないでね?」 あたしはいつの間にかそんな事を口走っていた。 すると、 「…しないよ。だって、こんなにルイが心配してくれてるんだもの」 そう言ってリア姉が優しく笑う。 …リア姉。 あたしは時々、ものすごく不安になる。 両親は突然事故に巻き込まれて居なくなってしまった。 もしリア姉まで居なくなったらどうしようー… そんな事を考えてしまうときがある。 あたしはそういうときは決まって暗い顔をしているみたいで、リア姉が言葉で安心させてくれるけれど、 なんだろう。 胸に残った嫌な予感。 …何に怯えているんだろうか、あたしは。 判らないまま、夜が過ぎた。
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