第五話 不安

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       ◇ 「ふぁ…」 のどかな午後。 あたしは昼の最後の授業を受けながら、あくびをしていた。 別に授業に興味がない訳ではない。 今日早めに起きたのと、ちょうど暖かいこの昼下がりに、睡魔が襲ってくるだけだ。 だが!あたしは起きる! あたしには専属の家庭教師とかがいたりしないから。 授業は真面目に受けないとついて行けなくなってしまう。 「わー…」 チフルがほのぼのとした声をだした。 もちろん授業中なので小さく。 「なに、チフル」 あたしが隣の席のチフルに小声で聞くと、 「あれ見て~」 顔ニヤけすぎ。 指差した方を見てみると、 ご存知性悪貴族キルシュ殿が居眠りしていた。 「かわい~。寝てるよキルシュくん~」 チフルがキャーキャー言ってる。 どこがですか。 何故授業をサボって昼寝こいてるヤツが可愛いのか。さっぱりわからん。 あーあーいいですねぇ。 天才で家のいい坊ちゃんは。 「なにすやすや寝てんだかっ」 あたしは寝ているキルシュをぎろりと睨むと、先生の方に視線を戻した。 さー。授業授業。
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