202人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
「ふぁ…」
のどかな午後。
あたしは昼の最後の授業を受けながら、あくびをしていた。
別に授業に興味がない訳ではない。
今日早めに起きたのと、ちょうど暖かいこの昼下がりに、睡魔が襲ってくるだけだ。
だが!あたしは起きる!
あたしには専属の家庭教師とかがいたりしないから。
授業は真面目に受けないとついて行けなくなってしまう。
「わー…」
チフルがほのぼのとした声をだした。
もちろん授業中なので小さく。
「なに、チフル」
あたしが隣の席のチフルに小声で聞くと、
「あれ見て~」
顔ニヤけすぎ。
指差した方を見てみると、
ご存知性悪貴族キルシュ殿が居眠りしていた。
「かわい~。寝てるよキルシュくん~」
チフルがキャーキャー言ってる。
どこがですか。
何故授業をサボって昼寝こいてるヤツが可愛いのか。さっぱりわからん。
あーあーいいですねぇ。
天才で家のいい坊ちゃんは。
「なにすやすや寝てんだかっ」
あたしは寝ているキルシュをぎろりと睨むと、先生の方に視線を戻した。
さー。授業授業。
最初のコメントを投稿しよう!