第一話 和やかなまどろみ

4/6
前へ
/251ページ
次へ
「…なによ」 あたしはけだるく、声の方へと振り返る。 つまり後ろ。 …ああ、やっぱり。 綺麗な真っ直ぐの銀髪を、首の半ば位で切りそろえている。男子にしては長め。 長い前髪に整った顔はかっこいいっていうより綺麗で。 ピシッとした制服はきちんと詰め襟まで留めてるし。 (ちなみに外見を分かりやすく述べてみたけど、全部イヤミ) …アイツだ。 いつも何かとあたしを敵視してくる男子… キルシュ・グランズベルツ。 『はぁ…』 ため息が出る。 あ、隣のチフルもついてるけど、これは違う意味でだ。 「君、剣術の勉強はしてきたの?」 丁寧な言葉使いがまたうぜぇ。 あたしは適当に返事をする。 「えー…まぁぼちぼち」 「いや、キルシュくん、ルイは朝まで特訓してたって…」 「チフルっ!?」 急いで口を塞ぐ。 コイツにそんな事言ったら、遠慮なくイヤミをふっかけてくるじゃないか!! 「ふーん…」 …キルシュが口だけを歪ませて笑う。 あたしは何か恐ろしい顔にしか見えないのに、 他の女子にはきゃ~笑ってる~って大絶賛だった。 面倒な事に…
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

202人が本棚に入れています
本棚に追加