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「それは良かった。」
キルシュがにっこりと笑みをこぼす。
「…なにがよ」
あたしが怪訝な顔で尋ねると、
「君が弱いとつまらないからね。…手加減は不要みたいだ。手合わせが楽しみだよ」
やっぱな。こいつの事だ。あたしに喧嘩売りに来たんだろう。
「今日は一年生全員で剣術のテストだもんね!」
チフルがさりげなく話しかけてる。
キルシュはああ、と頷いて、チフルに
「僕、ずっと楽しみにしてたんだ」
と笑いかける。
チフルははぁ…とため息。骨抜きにされてるな。
こいつめ。
あたしにはイヤミしか言わないくせにっ。
「なんなのよあんた。いっつも喧嘩売りに来て。」
あたしが痺れをきらし反論。
「僕は宣戦布告してるだけさ。正々堂々と勝負したいんだよ」
そう言うキルシュの目は怖い。
普通女子にそこまで敵意むき出しにする?
あたしは女の子にも見えないのかなぁ…
なんか泣けてくるぞ。
「じゃあ、もう言ったからね。手加減なしだよ」
「あっ…」
キルシュはスタスタと去っていく。
人の話を聞きなさいよ。
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