第一話 和やかなまどろみ

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「それは良かった。」 キルシュがにっこりと笑みをこぼす。 「…なにがよ」 あたしが怪訝な顔で尋ねると、 「君が弱いとつまらないからね。…手加減は不要みたいだ。手合わせが楽しみだよ」 やっぱな。こいつの事だ。あたしに喧嘩売りに来たんだろう。 「今日は一年生全員で剣術のテストだもんね!」 チフルがさりげなく話しかけてる。 キルシュはああ、と頷いて、チフルに 「僕、ずっと楽しみにしてたんだ」 と笑いかける。 チフルははぁ…とため息。骨抜きにされてるな。 こいつめ。 あたしにはイヤミしか言わないくせにっ。 「なんなのよあんた。いっつも喧嘩売りに来て。」 あたしが痺れをきらし反論。 「僕は宣戦布告してるだけさ。正々堂々と勝負したいんだよ」 そう言うキルシュの目は怖い。 普通女子にそこまで敵意むき出しにする? あたしは女の子にも見えないのかなぁ… なんか泣けてくるぞ。 「じゃあ、もう言ったからね。手加減なしだよ」 「あっ…」 キルシュはスタスタと去っていく。 人の話を聞きなさいよ。image=176119199.jpg
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