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◇
「…ふっ!」
キィン、と剣先が音を立て、ルイは鋭く、素早かな突きをかます。
「わっ」
相手の剣はカラン、と無様に地面へと落ち、
数秒して、
「…参りました」
と両手を上げた。
わぁああああっ…
歓声でざわめく他の生徒達をよそに、ルイは刃のない模造剣を鞘へとしまった。
勝っちゃったよ。
そんなことを考えながら。
「ルイすごーい!」
チフルが、試合が終わって休憩を取っているルイに話しかけた。
「すごかないわよ」
ルイがそう言うと、
すごいよ!とチフルが反論する。
「今の所全勝してるのって、ルイとキルシュくんだけなんだから」
チフルが自分の事でもないのに鼻を高くして言ってみせる。
えっへんとか言うのかな。
「まぁ猛特訓したから…かな」
ルイが言う。
頬が少し赤くなっていて、照れているのかもしれない。
チフルは、
「ルイは頑張りやさんだもんねっ」
そう言ってルイの頭を撫でる。
ありがと、とルイが嬉しそうに身を任せると、ぽつり、と弱音を見せた。
「…正直、結構プレッシャーきついんだよね」
「あぁ、ルイのお姉さんすごいもんね」
チフルが答える。
ルイの姉は上級魔術師だ。
まだ18歳だというのに、魔法協会に入ってすぐに功績をあげ、エリートを突っ走っている。
いわゆる天才というやつだ。
貴族でも武術や魔術の名家の生まれでもない人間が、才能に恵まれることは少なくない。
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