第二話 真剣勝負

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       ◇ 「…ふっ!」 キィン、と剣先が音を立て、ルイは鋭く、素早かな突きをかます。 「わっ」 相手の剣はカラン、と無様に地面へと落ち、 数秒して、 「…参りました」 と両手を上げた。 わぁああああっ… 歓声でざわめく他の生徒達をよそに、ルイは刃のない模造剣を鞘へとしまった。 勝っちゃったよ。 そんなことを考えながら。 「ルイすごーい!」 チフルが、試合が終わって休憩を取っているルイに話しかけた。 「すごかないわよ」 ルイがそう言うと、 すごいよ!とチフルが反論する。 「今の所全勝してるのって、ルイとキルシュくんだけなんだから」 チフルが自分の事でもないのに鼻を高くして言ってみせる。 えっへんとか言うのかな。 「まぁ猛特訓したから…かな」 ルイが言う。 頬が少し赤くなっていて、照れているのかもしれない。 チフルは、 「ルイは頑張りやさんだもんねっ」 そう言ってルイの頭を撫でる。 ありがと、とルイが嬉しそうに身を任せると、ぽつり、と弱音を見せた。 「…正直、結構プレッシャーきついんだよね」 「あぁ、ルイのお姉さんすごいもんね」 チフルが答える。 ルイの姉は上級魔術師だ。 まだ18歳だというのに、魔法協会に入ってすぐに功績をあげ、エリートを突っ走っている。 いわゆる天才というやつだ。 貴族でも武術や魔術の名家の生まれでもない人間が、才能に恵まれることは少なくない。
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