第1章 血と孤独にまみれた青年

2/66
47人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
リッチは森の中に立っていた。 黒いフードをかぶり、ポツリと一人で立っている。 目の前には美しい女性が血まみれになって倒れていた。 青々とした木の葉に日の光が射し込み、黄緑色の光に包まれている森の和やかな空気には不釣り合いだった。 女性は桃色の長い髪を地面に這わせ、長いまつ毛のついた瞼を閉じている。 彼女は街でも評判の女性だった。綺麗な瞳を持った美しさは誰もが一目置く。 そんな女性が殺されたなんて知ったら、街の人たちは強い衝撃とともに血相かいて犯人を探すのだろうな、とリッチは思った。 まあ殺したのはリッチ自身なのだけど。 また、あの殺人鬼かと街では噂がたつのだろう。そんなことを考えると、リッチは少し憂鬱な気分になった。 「あー、もったいね。こんな美人なのに」 リッチはそう言って自分が殺した美女を見た。 美しい上半身に、下半身が蛇。ラミアだ。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!