54人が本棚に入れています
本棚に追加
『…おはよう。』
『おはよう。』
ママが出て行った、という子供にとって大きな出来事があったからといって、毎日の生活は変わる事もなく。
普通に学校に行かなければならない。
それはパパも同様、仕事に行かなければならない。
昨日スーパーで買ってきていた菓子パンを開け、牛乳をカップに注ぐ。
パパはぼんやりとニュースを見ていた。
もしゃもしゃとパンを食べながら、アタシは何か話さなきゃ、何か話さなきゃ、と焦っていた。
だけど何も思い浮かばなかった。
ただただ、パパの丸い背中を見つめて、パンを食べていた。
もしゃもしゃと食べたパンの味はよく覚えていない。
だけど、新しい生活が始まったんだ、という実感だけは、ひしひしと感じていた。
この日から、パパとふたりの生活が始まったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!