知らないフリ

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本当は全てわかってた。 なんとなく感づいていた。 だからなにも言わなかった。 いや、言えなかった。 君が真実を話してくれるまで 待ってみた。 結んだ口はなかなか開かない。 君は微笑みを失ったかのように ずっと遠くを見ていた。 知らないフリはもうたくさん。 君は口を開かないまま 首だけを横に振った。 言葉のないフラれ方。 それが一番辛かった。 真実も聞けないまま君は足早に 明日へと歩いていく。 その後を追えないまま 今日に取り残されたあたしがいる
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