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「す~み~れ~」
朝起きると、由里姉が鬼の形相で迫ってきた。
「な、何?」
「あんた、私があれだけ家事しときなさいと言ったのに、何もしてないじゃない」
「あ」
素で忘れていた。
寝ぼけ由里姉をベッドに運ぶ事で、すっかり忘れていた。
「あはは、どんまい?」
「何で疑問形? とにかく早くやりなさい。この家には私とあんたしかいないんだからね。仕事は私、家事は貴方。そう決めたでしょ」
「……分かってる」
姉妹二人しかいない自宅。
随分昔からこの暮らしだ。
「はい、分かってるならさっさとやる。私はもう行くから」
そう言って由里姉は、そそくさと支度を始める。
「今日も早いんだね」
由里姉は朝早くに学校に出かける。
大学生の朝は早いのよ、といつも言っているが本当だろうか。
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